ローリング・ストーンズ伝説の目撃者たち



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心の中のローリングストーンズ

"伝説" というと、今ここにないものを とっさに 思い浮かべてしまう。
音楽を聴くようになってからは、その定義が恐ろしく広がった気がする。

端的に言うと、
それまで レコードで聴いたり、ライブビデオなどで実際に目にしたものと
寸分違わない姿か、もしくはそれから、激しくはみ出す部分を
ライブの会場などで、リアルタイムで目撃すると、
かなりの確率で、それは、その聴き手にとっての"伝説"になりうると思う。

その場面が あとになって、ライブビデオや、ライブアルバムなどの形で
記録され、リリースされたとしても、それは、その人個人の伝説と、
重なりはするが、完全には一致しない。もちろん、その場に居合わせた
全てのひとの体験をたとえ、訊いて、文章や、ドキュメントにまとめたとしても、
また、それは、別ものの、最大公約数的な集大成に姿を変える。

ローリングストーンズは、もう50歳を過ぎたロックンロールの歴史の中でも、
突出して、いわゆる、口コミの 付加情報が、もうある意味勝手に増幅を重ねて、
そのバンドの音楽、いや存在そのものを、延々生き延びさせている
唯一無比の存在となっている。
しかも、それは、彼らが 活動を止めない限り、勢いを止める事はない。
ライブに、レコーディングに、ときには世界各国のメディアを通して、
オフステージの喜怒哀楽、あらゆる感情を剥き出しにしながら。

ミックにキース、チャーリーに、ロンが、一心不乱に音楽(=Rock)する姿を
通して、聴き手は ないようで永遠に 存在し続ける 自らの日常を生きる
ヒントを、無言のうちに、心の中に 忍ばせられるのだ。
ただ、問題は、それを、自分が、自分の方法と、意思をもって どう機能させるか
ということだ。どんなに 高尚とされる音楽でも、ポエトリーリーディングでも、
高名な学者の講演でも、心に響かない人は、必ずいるのだ。
極論すれば、音楽が無くても、生きていく事はできる。でも。でもなのだ。
どうしてここまでキースリチャーズが かき鳴らすオープンGのリフに
心をかき乱されるのか、ミックジャガーのファルセットの絶叫に脳みそごと
揺さぶられるような衝撃を受けるのか。

人生のある瞬間に、風向きが変わる感じ、というか、
無意識のうちに、方向を選びとって、気付いたら今に至る、、という場面が
個人個人で必ずあるはずだろう。

その瞬間は、びっくりするぐらいのスピードで通り過ぎ、
その後に強烈な印象となって、心にへばりつく。

それは、大きさを度外視すれば、日常生活の中に 無数に転がっている。
人は、ひとの数だけ、いや、それ以上、無限の気付き方でに、それに 気付いて、
自分の 意志のままに 生きる才能を内包している、と個人的には思う。

山川健一にとって ローリングストーンズの音楽は、まさに、
彼自身の表現を借りるのならば、"God Of R&R"からの啓示だったのだと、思う。

この5年ほどは、いわゆる、小説という枠組みを越えて、その啓示の源泉を
わかりやすく伝えるべく、エッセイや、新撰組、さまざまな講演等の
形をとって、それを読者に伝えようとしてきた。読み手、聴き手としては、
その核心の姿は、ちらほらと、見え隠れはするんだけども、心の中まで
秒速で飛び込むまでにはいたらなかった。

だが、はからずも、それは、山川健一が、自らの表現活動の最大の
アイデンティティのひとつと 自他共に位置づける、ローリングストーンズの
姿を 借りて、今回見事に、読み手のところに届けることに成功した。

あとは、それを、自分だけの形にして、懐にいだき、
"外に出て 新しい事を 始める"だけだ。
もしくは、それを手にする きっかけが 一つでも見つけられる事ができれば、
これ以上の"Happy"な事はないし、
それが、様々な形で 芽吹き、実ったとき、
オレらは、自分たちの人生のなかの
"ローリングストーンズ"に比肩する存在たりえている、と信じていたい。



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